シネマプラス

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(日経産業新聞 2006年4月4日)

ホテルや病院など業務施設向けの映像配信を手がけるシネマプラス(東京都中央区)は最新の映像圧縮技術「H.264」に対応したビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを今月中旬に始める。同技術の圧縮性能は従来の圧縮規格に比べ2~3倍以上。高画質の映像を維持しながら、業務施設が負担する通信関連費用の削減や配信作品の品揃えの増加に役立てる。

  シネマプラスのサービスは、映像データを都内の管理センターから利用者に直接配信するのではなく、業務施設内に設置した専用サーバに圧縮技術を使っていったん蓄積。LAN(構内情報通信網)を通じ、利用者が要求する映像をテレビに配信する。

同社はコンピューター機器製造のゲメックス(東京都渋谷区)と共同で「H.264」に対応した専用の受信機を開発。サーバから圧縮された映像データを取り出し、再生するソフトを組み込んだ。

「H.264」の音声まで含んだ画像品質は毎秒1.2メガビット。現在、映像配信で主流の毎秒3.5メガビットに比べ圧縮率は約3倍に高まっているため、専用サーバやLANなど通信インフラ向け投資負担で最大5割の削減効果が見込める。同じ容量のサーバで比較した場合には従来よりも大量の配信作品を蓄積しておくことができるようになる。

シネマプラスは東映のほか、松竹、東宝などの大手映画会社が出資している。

映像配信の本格普及 品ぞろえがカギ

アップルコンピュータの携帯型音楽プレーヤー「iPod」などの登場で爆発的に普及した音楽配信に比べると、映画やアニメなどの映像ネット配信の本格普及はこれからだ。大手映画会社はシネマプラスを通じ、テレビに専用の受信機を取り付け、高画質を維持しながら手軽に作品を楽しんでもらうことで需要を堀りおこそうとしている。

映画会社は昨年あたりまで不正コピーなどの懸念から映像配信に及び腰だった傾向がある。ブロードバンド通信も普及してきたものの、データ容量の多い映像配信は画質が途切れかねないなどの不安定要素も残っていたためだ。現時点では新旧DVDが手軽に借りられるレンタル店に出向く消費者も多い。
これまでの映像配信はパソコン向けが大半で、サービスを楽しむためには一定知識が必要だったり、パソコンで映画やドラマを見る習慣がなかったことも普及を妨げとなっていた。

シネマプラスのように、テレビに専用の受信機を介したサービスはこうした難点を解決する可能性を秘めているが、従来の映像圧縮技術では配信作品の品揃えを増加させるのに限界があった。今後は劇場やDVDでは十分満足できないニーズを満たす品揃えを新技術を利用して実現できるかどうかがカギになりそうだ。

▼H.264

国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ(ITU-T)と国際標準化機構/国際電気標準会議(ISO/IEC)が策定した映像圧縮の国際標準規格。次世代 DVDや携帯端末向けの地上デジタル放送での採用が決まっている。現在主流の圧縮規格「MPEG-2」や「MPEG-4」に比べ2倍以上の圧縮性能を持つ。高画質のハイビジョン映像にも対応している。